TERASの目的

事業目的

本事業の目的は、製品に対する本質的品質を維持しつつ、品質説明力の向上を図るためのオープンツールプラットフォームを構築し、国際的に活用される産業基盤を形成することです。オープンツールプラットフォームは、開発拠点がグローバル化する組込みソフトウェア開発の全ライフサイクルを支援し、実装から設計中心のソフトウェア開発に移行し、全体システムとしての安全性・信頼性を確保します。さらに日本の特徴であるすり合わせ型開発に対応し、多産業・多業種で共通的に適用できるようにします。上記に加え、情報漏えいの防止・対処、災害に対する保全、バリエーションの対応、差分開発への支援を事業目的とします。

以下に事業目的を12項目に分け、背景とともに説明します。

 

(1)品質説明力の向上

【背景】近年、製造業に携わる者にとって、安全性・信頼性の定義は大きく変わりつつあります。機能安全規格IEC61508、ISO26262に代表されるように、安全に対する説明責任が求められています。今までは「正しい製品」をつくることが安全性を証明する手段でしたが、今後はその「正しい製品」が「正しい方法」でつくられたことを示すために、第三者による検証を通じて証明することが必要とされています。

【目的】ソフトウェア開発において生成されるドキュメント類(要求仕様書、設計書、テスト仕様書、テスト成績書等)間のトレーサビリティを管理するツールプラットフォームを構築します。トレーサビリティを管理することで、“本質的品質”と“品質説明力”を向上させ、機能安全や第三者による検証を支援します。

 

(2)ソフトウェア開発の支援と全体システムとしての安全性・信頼性の確保

【背景】社会インフラを実現する高度道路交通システムやスマートハウスは、多数の製品・機器が統合したシステムです。このため、システム全体として安全性・信頼性を確保するため、上流段階での設計・検証等がこれまで以上に重要となっています。

【目的】重要度の増す上流工程の中核技術となるモデルベース(モデル駆動)開発技術を支援するツールプラットフォームを構築します。モデルベース設計の標準インタフェースを策定には、標準仕様であるOSLCを拡張します。

 

(3)開発拠点のグローバル化

【背景】コスト削減・人材確保・材料調達・為替リスクヘッジなど諸々の理由から、海外に開発拠点をおく所謂「オフショア開発」が拡大しています。

【目的】海外や遠隔地に点在する開発拠点間でも、円滑な開発を遂行できるようにクラウドコンピューティング技術を取り入れ、グローバルな各開発拠点においても均一な開発環境を提供します。この環境は、情報の機密性・正確性・継続性を保ちつつ、情報の共有化を実現します。

 

(4)すり合わせ型開発への配慮

【背景】日本が得意とする「すり合わせ型」には前工程への細かなフィードバックが繰り返し起こり、「組み合わせ型」に比べ、ソフトウェア工学の見地からは管理がしにくいという課題があります。

【目的】フィードバックのトレーサビリティを厳密に管理することにより、我が国独自のすり合わせ型開発に配慮した開発環境を構築します。

 

(5)多産業・多業種の産業構造への配慮

【背景】我が国は、多くの産業・多くの業種が集積した産業基盤を形成していますが、各産業・業種を横断する組込みソフトウェアの共通プラットフォームが求められています。

【目的】各産業・業種に特化したツールをツールプラットフォームに容易にプラグインできることで、多くの産業・業種で使用できるプラットフォームを構築します。

 

(6)本質的品質の維持

【背景】製品の高機能化・複雑化にともない、組込みソフトウェアの開発規模が増大し、トレーサビリティの確保が困難な状況にあります。今後、さらに増大する開発規模により、製品の品質の維持・向上を図ることが、ますます難しくなっています。既に多くのツールが企業で使用されており、トレーサビリティの確保のために既存ツールを変更することは困難な状況にあります。

【目的】既存ツールが使用できるツールプラットフォームとします。既存ツールによって生成した要件・設計書・レビュー記録・ソースコード等のトレーサビリティをツールプラットフォームが確保することで、本質的品質の維持・向上を実現します。

 

(7)全ライフサイクルの支援

【背景】近年、安心・安全な社会のために、製造上全てのプロセスにおいてトレーサビリティが求められています。

【目的】全ライフサイクルを対象としたツールプラットフォームを開発します。ツールプラットフォームは、ソフトウェアライフサイクルにおいて生成される成果物のトレーサビリティに加え、その成果物の属性(作成者、作成日時等)やその開発者の保有スキル等とのトレーサビリティも確保します。

 

(8)オープンツールプラットフォーム

【背景】経済産業省の調査資料[1]によると、我が国のソフトウェア産業のツール使用率は、低い水準にあります。ツールを外部から購入・使用した時の課題として、「ツール自体が高価である」・「ツールを使う環境が未整備である」・「使える技術者が少ない」等があり、ツールは中小企業にとって導入しにくい環境にあります。また、我が国のツール産業はグローバル市場展開が行えていない状況にあります。

【目的】WEBクラウド技術を基本とするオープンなツールプラットフォーム環境を提供することで、中小企業を含めた多くの製造業にツール利用及び技術教育の場を与えます。また、ツールプラットフォーム上にインタフェースを設け、それにプラグインするツールであれば広く利用できるようにすることで、ツール産業に新規市場拡大の機会を与え、ツール産業全体を活性化させます。

 

(9)情報漏えいの防止・対処

【背景】複数の開発拠点から共通のツールプラットフォームを用いて開発を進めていくにあたって課題となるのが、情報の相互連携です。特に開発がOEMとサプライヤ間にまたがるような企業間での分業がある場合、インターオペラビリティに加えてアクセス権限の管理も煩雑になります。アクセス権の便宜を図りながら、不正アクセス・情報の漏えい・改ざんを防止する仕組みが必要とされています。

【目的】ツールプラットフォームは、メーカ、Tier1サプライヤ、Tier2サプライヤ等で設計情報をやり取りする際に、細かなアクセス認証を設定し、アクセス管理の全体最適化を図ります。

そこでは、個人レベルでのアクセス認証だけでなく、企業・組織・役割等のレベルでアクセス認証および履歴を管理し、ソフトウェアの不正利用の防止や設計情報等の改ざん、情報漏洩を防止します。

 

(10)災害に対する保全

【背景】ソフトウェア資産の重要度が増しています。災害時における設計情報の保全が問題となっており、不測の事態でもアクセス可能な堅牢性と安定性をもったWEB技術が見直されています。

【目的】設計情報の分散配置が重要であり、クラウド環境上にデータを管理することによって、大規模災害によるローカルな通信障害・停電にも十分な耐性をもったデータ保全および早期の復旧ができます。

 

(11)バリエーションの対応

【背景】多様化する消費者の嗜好に合わせるように、一つの製品シリーズの中に多くのバリエーションを持つものが目立つようになってきました。バリエーションが増えてくると要件カバレッジや影響範囲の分析が難しくなってきます。効率よく開発を進めるために、ソフトウェア部品の再利用を支援するソフトウェア・プロダクトラインの手法が注目されています。

【目的】ツールプラットフォームは、成果物間の追跡を容易にし、生産性を向上するためのバリエーション管理機能を提供します。

 

(12)差分開発への支援

【背景】既存のバリエーションの中に新しい製品を追加する場合、前の製品と比べた差分要求や差分設計をしっかりと理解していないと、設計モレ・実装モレを起こし、正しい設計・実装そして十分な試験ができなくなってしまいます。

【目的】ツールプラットフォームのトレーサビリティ管理機能を用いて、上流工程の差分をモレヌケ無く下流工程が引き継げる開発環境を提供します。


[1] 2010年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/downloadfiles/2010software_research/index.htm

 

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